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アメリカにおける1900年代初頭のキャロムシーン画像
インドのキャロム
・オールドデリーの活気あるナイトライフ、キャロムクラブの掟 2017年8月8日
<翻訳文>
・ムンバイのキャロムクラブ 2021年6月8日
<翻訳文>
パキスタンのダブ
ザ・エクスプレス・トリビューン 2010年6月27日の記事
https://tribune.com.pk/story/23467/from-the-dabbu-club
<翻訳文>
タブに関する動画
https://youtu.be/lsCCnOP-V1U?si=tyqw9sVOvyXCcteC
パキスタンの巨大キャロムのことをパキスタン最大都市カラチでは「ダブ(Dabbu/Daboo)」、パンジャーブでは「ファツ(Fattu )と呼ばれ、ボードサイズは一辺が5.5フィート(約167.64センチ)で、輪状のストライカーも大きいことも特徴です。専門のダブ・クラブで遊ばれています。
ベイシックなルールはインドのキャロムと同じです。他にポケットに入れたパック(どちらの色でも1個1点)、クイーン(10点)として、累計で100点に達したプレイヤーが勝利するポイント制ルールでも遊ばれているそうです。
ダブ・クラブより
クリケット(Cricket)は、女子チームやクリケット委員会にとんでもない悪党がいても、依然として「紳士のゲーム」と呼ばれているわけだが、常連客の階級や文化をまったく気にしないゲームは他にもある。地味ながら、とても面白いダブ(Dabbu)について紹介したい。
煙が充満する小さな部屋、大きなベニヤ板、そして街頭犯罪者、失業中の若者、役立たずの居候、低賃金労働者階級の人々を想像して欲しい。これが現代のカラチ(Karachi/パキスタン最大の都市)の都市生活には欠かせない、この室内ゲームの舞台である。
スラム街に住む大多数の成人男性にとって、ダブは最も安価な娯楽で、日常生活には欠かせないものとなっている。
「ダブ」という言葉の語源は不明だが、このゲームをプレイする巨大な木製ボードがヒントになるかもしれない。いずれにせよ、このゲームの名称は、ギリダンダ(Gilli-danda)やクリケット(Cricket)、ホッケー(Hockey)よりも魅力的でキャッチーだ。
※[訳注]ギリダンダとは、「ギリ」と呼ばれる木片を地面に置いて、それを「ダンダ」と呼ばれるバットで打って空中に跳ね上げ、さらにもう一度ダンダで打って飛ばして、その飛距離で勝敗を決める遊び。クリケットのルーツとも言われる。
ダブの達人たちにとって、ダブは魂の保養となる活動であると同時に、応援してくれる観客のため、社会問題について声を上げるプラットフォームでもあるのだ。カトリーナ・カイフ(Katrina Kaif/インド出身の女優)の絶世の美貌から、IPL(Indian Premier League/インドのクリケットプロリーグ)の試合におけるチアリーダーのダンス、ジェーブドのニハリ(Nihari/インド亜大陸のシチュー)に至るまで、ダブをしながらあらゆる重要事項が徹底的に議論される。政治や社会問題を学ぶ場でもあるのだ。ダブの周囲にいれば、引っ越してきた隣人のことから、米国が適用する世界的な政策についてだって知ることができる。またダブ・クラブは総会が開かれる場所としても使われていて、政治団体が労働者や活動家をリクルートしようと、会場に出没することもある。
元々ダブは、子供たちに愛好されている健全なゲームで、キャロムの亜種である。クイーンはダブ・プレイヤーの最終ターゲットであることに変わりないが、キャロムと異なり、ダブの盤面にはクイーンが1枚ではなく3枚ある。一人の女性を巡り死闘が繰り広げられた人類の歴史を考えれば、一度に3枚のクイーンをポケットに入れるというのは、ダブ・プレイヤーが勇敢であることの証だ。
このゲームで最も難しいのは、自分の全てのコマをストライクする前に、先にクイーンを沈めておかなければならないことだ。それ以外、ダブのルールはキャロムとさほど変わらない。比較的ルールが緩やかなので、プレイヤーは余計な制限を受けることなく実力が発揮できる。キャロムでは座ってプレイしなければならないが、ダブは立ってプレイする。快適さを求めて木製スツールに座ることもできるが、そのような軟弱さはダブ本来の精神に反している。キャロムと同じように、摩擦を減らしゲームをスピードアップさせるため、ボード上にはたくさんの粉が撒かれる。これはベストを着たプレイヤーから滴り落ちる汗によっても促進される。
ダブの達人が放つすべてのショットには、原則として俗語が添えられ、通常、攻撃的な罵声はプレイヤーと観客の双方にとって不可欠なエネルギー・ブースターとなる。凧揚げの際に「ボ・カタ(Bo kata)」と唱えるように、ダブの完璧なショットには「イェ・マラ(Ye Mara)」と唱えられる。
フリースタイルのレスラーのように、真のダブの達人は、手、足、そして全身を使ってゲームを操る。肉体と精神の調和が求められるダブは、手玉の代わりにストライカー(goti/ゴティと呼ばれる)を打ち込む、貧乏人のためのビリヤードのようなもの。室内ゲームでありながら、青空の下でプレイされることもあり、最近のトレンドでは、20人対20人でダブをプレイしている。また、テニスのようにシングルスでもダブルスでもプレイできる。シングルスではプレイヤーは互いに向かい合って座るが、ダブルスではプレイヤーはボードのすべての側面を占有する。
ダブ・クラブに向かう途中、グトゥカー(gutka)のアウトレットやパーン(paan)ショップに立ち寄って、ゲームのスリルと喜びを高めよう。パーンやグトゥカーを噛む人には、街を真っ赤に染める権利がある一方で、ダブ・クラブの壁や床は抽象的なデザインのアートギャラリーとなっている。
※[訳注]グトゥカーは粉っぽい細粒状で、下唇と歯茎の間や舌の裏側に入れておいて味わう嗜好品。パーンはキンマの葉にビンロウの実の他、スパイス、シュガー、ココナッツパウダーなどを包んだ嗜好品。
このゲームの人気は、大都市のさまざまな地域で年間を通じて開催されるダブ・トーナメントの数で判断できる。かつて私は「オール・ランディコランギ・ダブ・トーナメント(All Landhi-Korangi Dabbu Tournament)」という、市内各地から一流ダブ・プレイヤーが参加する大型イベントに出場したことがある。
※[訳注]ランディとコランギは、パキスタンのカラチ市東部にある行政区。
ダブは、日常生活に余裕のない麻薬中毒者たちが広く楽しむ、人類史上唯一のゲームという特徴を持っているのかもしれない。食料品販売者、荷役労働者、児童労働者、物乞いのプロなど、人々は長い一日の終わりに、ダブ・クラブのベンチに涼しい休憩場所を見つけ、日当から数ルピーを費やしては勝利を求めて打ち込んでいるのだ。
ザ・エクスプレス・トリビューン 2010年6月27日の記事を翻訳
カナダのピシュノット
ピシュノットの歴史を少し振り返ってみましょう:
インドが発祥?
「ピシュノット」というゲームの正確な起源については、ほとんど解明されていません。カナダのケベック州でしか行われていなかったため、長い間ケベック州発祥のゲームだと信じられてきました。
しかし、オンタリオ州の熱烈なクロキノール・ファンが書いた『クロキノールブック』が出版されたことで、いくつかの手がかりを得ることができました。
この本では「クロキノール」というゲームをイギリス系カナダ人が好んでいたことを明らかにしていますが、1920年代のシアーズのカタログの一部には、イギリス人が「キャロム」と呼ぶ、「ピシュノット」に似たゲームが掲載されています。
さらにネパールのカトマンズで「キャロム」プレイヤーを撮影した写真も掲載されています。
※[訳注]Sears(シアーズ)とは、現在ではアメリカ、カナダ、メキシコにある大手廉価量販店で、日本のイオンやイトーヨーカドーといったイメージに近いが、1920年頃は、大判総合カタログによる通信販売が業務形態であった。
国際ゲーム祭でポルトガルを訪れた際に、ようやく「キャロム」というゲームが、実はビルマ、ネパール、インドなどの主要なゲームのひとつであることを知りました。
キャロムのウェブサイトができたことで、私たちの知識は裏付けられたのです。
国際キャロム連盟(ICF)の事務局はインドにあります。
※[訳注]『The Crokinole Book(クロキノールブック)』の著者は、Wayne Kelly(ウェイン・ケリー)で、ミスタークロキノールと自称。
第1版が1988年、第2版が1994年、第3版が2000年に出版されており、内容も版を重ねる毎に改訂されている。2016年5月に死去。
※[訳注]International Carrom Federation(国際キャロム連盟)は、1988年10月、インドのチェンナイに設立され、現在ではスイスのチューリッヒに本部が置かれている。
カナダのケベック州で人気のゲーム
「ピシュノット」はケベック州のほとんどの家庭でプレイされており、多くの地域では、フェスティバルやカーニバルなどのイベントにおいて、トーナメント形式で遊ばれてきました。
ルールについて
・このゲームのルールの概要を見ていきましょう:
高さ75.5cmの脚の上に80cm×80cmの正方形のボードを置いて、ターンテープルのように回転させて遊ぶことができます。
・四隅にポケットがあり、これがプレイヤーのマトのようなもので、ゲームの目的は「シヤン(犬という意味でストライカーのこと)」と呼ばれる別のコマを使って「ダーム(貴婦人という意味で、パックのこと)」を穴に落とすことです。
・ゲームの進め方は、ビリヤードとよく似ています。ケベック州ピュノット選手協会(AQJP)では、全員のプレイヤーが指で狙いますが、ケベック州の一部の地域では、キュー・スティックを使用しています。
ガスベ半島(その他の地域)では、小型のビリヤード台を「キャロム」と呼んでいるのをご存知でしょうか?
・このゲームは2人(シングルス)か、4人が2人1組のチームを組んでパートナー同士が向かい合ってプレイします。
・ゲームは、12枚の緑色のパック、12枚の赤色のパック、パックを打つのに使う4枚のベージュ色(ナチュラルウッド)のストライカー、2枚の白または黒色のカウンター(5点と10点の価値があり、通常は上部の小さなドットの数で識別)から構成されています。
・ゲームに勝つには、プレイヤーは少なくとも31ポイントを蓄積する必要があり、引き分けの場合には追加ラウンドをプレイします。
◎ケベック州ピシュノット選手協会(AQJP)のサイトより翻訳
http://pichenottes.quebecjeux.org/fr/histoire.php
◎ピシュノット大会の様子(動画)
カナダのオンタリオ州で「クロキノール」と呼ばれるゲームのことをケペック州では「ピシュノット」と呼んでいる。
どちらも「おはじき」という意味。
「キャロム」も「衝突させる」という意味の言葉である。
日本では、「カロム」も「クロキノール」のことも「闘球盤」という名称にしていたため、混乱を生んでしまっている。
南極観測船のキャロム
1956年から1962年まで、初代南極観測船を務めた「宗谷」は、
現在では、東京都品川区東八潮にある船の科学館で、無料で公開
展示されています。
年代物の数台のキャロムが、観測隊員食堂に置かれています。