カロム上達のヒント(技術と戦術)・・・ 石川久氏による一考察
ひとまずテキストだけの掲載ですが、将来的には図解や動画も併用して、より理解してもらいやすいようにしたいと考えています。
【カロムプレイの基本】
・身体の位置(ボディポジション)
狙うパックとストライカーの正面に身体を置き、利き目が同一直線にくるようにする。
カロム盤を床や畳に置く場合とテーブルに置く場合、椅子に座る場合と立ってプレイする場合とでは、視点の高さが変わってくるため、いずれにも慣れておく必要がある。
(国際キャロムでは、椅子から離れてプレイすることはできないが、日本のカロムではそのような制限はない。ただし、エリアラインを延長した範囲に身体の一部を残していなければならないことが規定されている)
・ストライカーの構え方(グリップ)
ストライカーは親指と中指で挟んで持ち、エリアライン上に配置しつつ、中指の先端で狙いを定める。
そのまま親指の位置を変えずに、中指をストライカーに対してねじ込むように親指に引っ掛け、小指もボードに添え、親指と小指に軽く重量を加えてから弾く。
ストライカーと弾く指が密着することで、フォームが安定し、コントロール精度も高まる。
また、弾く指がストライカーに近いため、指や爪を傷める心配もない。
人差し指よりも中指の方が、より力強いショットが打てるので、中指で弾くことを推奨する。
ただし、中指で弾くと、利き手とは逆方向の回転がストライカーにかかることになる。
つまり、ストライカーを右手の中指で弾けば、左回転がかかる。
(国際キャロムでは、この構え方をスピングリップと呼んでいる)
・ショットの方向性と力加減(エイム)
ストライカーは狙うパックとポケットが一直線になる延長線上のエリアラインに置くのが基本だが、狙うパックの周辺に他のパックがある場合など、ケースによっては角度をつけて打たなければならないこともある。
その際は、ボード表面に顔を近づけ、射線が通っているかを確認しながら、ストライカーの位置を決める。
日本のカロムでは、フレームの跳ね返り具合にボードの個体差が出やすく、全般的にクッションしづらい傾向にあること。
さらにボード表面を滑りやすくするようなパウダーやワックスは使用しないので、ストライカーは強めに弾いた方が良い。
ただし、角度をつけてストライカーを打つと、パックに反射して、その勢いで別のポケットに入ることもあるので、絶妙な力加減が求められこともある。
【ショットの種類とテクニック】
習得したショットのレパートリーが豊富になれば、さらにカロムの面白さと奥深さを感じられる。
ショットの名称については、国際キャロムやビリヤードで使われている用語の流用である。
《初級篇》
・ストレートショット
ポケットとパックとストライカーをひとつの直線上にくるようにして弾く。
パックの中心を狙うので、ストライカーはパックに当たった位置でピタリと止まる。
・アングルショット
パックに対してアングル(角度)をつけて薄くストライカーを当てる。
ポケットとパックを直線で結び、パックを通過したイマジナリーラインがタッチポイント(撞点)となる。
パックに当たった後のストライカーは、パックの進行方向に対して90度屈折した方向へ反射する。
・プッシュアウトショット
弾く力を溜めて、無回転で打つパワーショット。
パックとパックを玉突きさせる、密集したパックを崩す、フレームに反射させるショットなどに効果的。
・ブレイクショット
ゲーム開始時、並べられたパックを散らす。
もしくは、ゲーム中に、密集したパックやペナルティによってセンターに積まれたパックを崩すショット。
・Vポイントショット
フレームに接触しているパックをポケットに入れる場合には、ポケットとパックを結ぶ直線上にストライカーを並べることができない。
そのため、フレームとパックの隙間を狙ってストライカーを打ち込む必要がある。
この隙間のことをVポイントと呼ぶ。(サイドフレームに接触するパックは、逆V字に見える)
・パンチショット
フロントフレームに接触しているパックに対して、中心を外して垂直ぎみにストライカーを打ち込むことで、そのパックを水平(横)方向へ移動させ、ポケットへ入れる。
フレームとパックの隙間(Vポイント)を狙うよりも比較的簡単にポケットできる。
・バックショット(サムショット)
親指を使ってストライカーを弾き、自分のエリアにあるパックをポケットへ入れる。
親指に人差し指を交差させ、軽く抵抗を加えた後、人差し指をスライドさせて弾くことで力が抑制できる。右手が利き手であれは、左下のポケットへ入れる際に効果的。
ダブルスにおいては、自分のエリアにあるパックやジャックをストライカーで直接打つことはできないルールになっている。
(国際キャロムでは、サミングと呼ばれるポピュラーな構え方)
・アジェイスンショット
密着して隣接する2個のパックの方向がポケットへ向いていれば、後ろのパックにストライカーを当てることで、楽にポケットへ入れられる。
角度をつけて打てば、後ろのパックは、前のパックの進行方向に対して90度屈折する性質があるので、配置によっては、後ろのパックをポケットへ入れることが可能である。
2個のパックの方向性が、ポケットと少々ずれていたとしても、2個のパックをひと塊と見て、ポケットからイマジナリーラインを引いてタッチポイントを厳密に割り出し、そこへストライカーを打ち込めば、その軌道を修正できる。
(このテクニックを国際キャロムでは、ロング[wrong:誤った]ショットと呼んでいる)
・フォローショット
エリアライン付近のパックにストライカーを接触するように配置して弾く。
パックをポケットへ入れようと、ストライカーを同じ方向へ弾くと、ストライカーは反発せずにパックと一緒にポケットへ入ってしまう。
それを防ぐには、ストライカーの方向性をポケットからずらして弾けば良い。
この狙いを他のパックに向けることで、同時にポケットへ入れたり、パックを移動させたり、パックの密集を崩すことができる。
ダブルスにおいて、エリアライン上にあるパックにストライカーを密着させて配置してから、エリア内にあるパックを狙うことは認められている。
狙う角度によってはパックの抵抗がかかるので、それを考慮して狙いを少しずらす必要がある。
・リリースショット
一発ではポケットに入らない位置のパックを、次の手番でポケットに入れられる位置へと移動させる。
・ディフェンスショット
相手のパックがポケットに入らないように、その進路を妨害する位置へパックを移動させる。
相手のパックを自分のエリア中央へと移動させ、ポケットに入りづらくさせる。
ダブルス時に相手のパックを相手のエリア内へ移動させ、そのプレイヤーに直接打てなくさせる。
《中級篇》
・コンビネーションショット
パックとパックを玉突きさせて、ポケットへ入れる。
・カットショット
パックをポケットへ入れながら、ストライカーを反射させて、他の密集したパックを崩したり、よりポケットへ入れやすい位置へとパックを移動させる。
アングルショットと同意語ではあるが、反射を利用したテクニックを重視して分類している。
・クッションショット
ストライカーをフレームに反射させてからパックに当て、ポケットへ入れる。
ダブルス時に、ストライカーをフレームに反射させ、自分のエリアにあるパックをポケットへ入れる。
(クッションショットとはビリヤード用語で、国際キャロムでは、リバウンドショットやフックショットと呼ばれる)
・バンクショット
ストライカーで打ったパックをフレームに反射させてポケットへ入れる。
(バンクショットとはビリヤード用語で、国際キャロムでは、ダブルショットと呼ばれる)
・シザースショット
中指を横に寝かせた状態で爪をストライカーに接触させ、人差し指を中指に交差し抵抗を加えて中指でストライカーを弾く。
力加減が抑制できるので、パックやジャックを特定の位置へと移動させるのに効果的。
自陣にあるパックやジャックを右下のポケットへ入れる際も楽な姿勢で打つことができる。
(国際キャロムでは、ポピュラーな構え方)
《上級篇》
・ジャンプショット
弾く指の第一関節をボードの表面に折り込んで、アッパーぎみに打つことで、ストライカーをジャンプさせるショット。
相手が敢えてジャックペナルティを受け、5個のパックが積まれた上にジャックを逃した場合、そのジャックを狙ったり、積まれたパックの中から特定のパックを抜き落としてポケットへ入れる場合に用いられる。
ストライカーをポケットに突き出すように配置して、その下面を指で弾くのは禁止されている。
ジャンプショットは、ロブショットとも呼ばれる。これはゴルフやテニスの用語で、ロビング[lobbing]には「高く緩やかに上げる」という意味があり、その略である。
・キスショット
ストライカーでパックを打ち、他のパックに反射させてポケットへ入れる。
・キャノンショット
ストライカーでパックを打ち、ストライカーを反射させて別のパックをポケットへ入れる。
(キャノンショットとはビリヤード用語で、国際キャロムでは、グランスショットと呼ばれる)
・リバウンドショット
フロントフレームに接触したパックにストライカーを当て、その反射で別のパックをポケットへ入れる。
【戦術を考えるヒント】
戦術について語る前に‥‥
カロムは自分の色のパックを全てポケットに入れ、先にジャックを落としたプレイヤーが勝つ。
ルールはとてもシンプルで、こんなに秀逸なゲームはそうないと思う。
国際キャロムのポケットは小さいので相当難しいけれど、日本のカロムはポケットサイズが大きいので、難易度もかなり低くなっている。
だが、ビギナーのうちはポケットに入りそうなパックを見つけるだけで精一杯で、慣れないうちはショット精度も低いので、狙い通りにストライカーを弾くことができず、ミスを連発して自滅するケースが何と多いことか‥‥。
ストライカーがポケットに入ったり、途中でジャックを落としてしまうと、ペナルティを受けてパックが盤面に戻ってくるので、グタグタな展開に陥っていつまでたっても決着しないこともある。
カロム日本選手権などの公式試合では5分の制限時間が設けられているので、手番が来たら基本的には10秒以内でショットしていかなければならない。テンポのあるプレイが求められ、じっくり長考している時間は与えられていない。
大抵の試合は、10ラウンドから15ラウンドで勝敗が決まる。ショット精度の高いプレイヤーが相手だと、たった3ラウンドで終わってしまうこともある。
試合は、序盤(前半)と終盤(後半)の2つに大別できる。自分はカロムには中盤のような段階があまりないと感じている。
序盤は、相手側のフレーム(壁)にストライカーをクッションさせて、互いにパックやジャックを自分に近い位置に引き寄せ合う。そして、相手の邪魔になっていないパックをポケットへ入れたり、難易度の高いポジションのパックをクリアしたりして、互いに陣形を整えていく。そして終盤には、先にストレートラインを構築したプレイヤーが一気にラッシュをかけ、次々と自分のパックを入れていく。
手番にひとつでも多くのパックを入れたい。という気持ちになるのが自然なようで、果たしてそれで良いのだろうか?
相手よりも多くのパックを入れている方が優勢なのか?
ショット精度の高いミスしないプレイヤー同士で戦ったら、どっちが勝つのだろうか?
先攻と後攻のどちらが有利なんだろうか?
自分の方が先にパックを全て入れたのに、ジャックの位置が難しくハズしてしまい逆転された。これって勝てたかもしれない惜しい試合だったのだろうか?
そんな幾つかの疑問を抱くようになった。
カロムにおいて、どのように思考して、どのように実践していくのがベストなのか?
シングルスをベースに、カロムの戦術のようなものを拙いながら考察してみようと思う。
《初級篇》
・入れようとするパックとポケットを直線で結んで、その延長線がエリアラインと交差する地点にストライカーを置き、真っ直ぐに打つストレートショットが最も基本的なショットである。
初心者のうちは、そもそも、ストライカー、パック、ポケットが一直線上になっていない位置からショットしていることが多く、これがミスする原因になっていることが多い。
・サイドフレーム付近や相手のエリアライン内にある自分のパックは、同一直線で結ぶことができないため、それだけ難易度が上がり、ショット精度が求められることを理解しておこう。
・ジャックスポット(ボード中心)にあるパックをポケットに入れるのは実は難しい。パックの中心点からズレてストライカーが当たると、ポケットまでの距離があるため、それだけ誤差が大きくなっていく。
・相手のエリア内にあるパックを早い段階から優先的に処理するように心掛け、一発でポケットへ入れられないにしても、ポケットへ入れやすい位置に移動させておくだけで改善されるだろう。
何をしたら良いか迷ったときは、まずは遠くのパックから処理していくべきである。
・サイドフレーム付近にあるパックは、活用しづらいことが多いので、早い段階でポケットへ入れても構わないだろう。ただし、相手のパックのポケットへの進路を邪魔しているのであれば、それは後回しにしよう。
・他のパックが邪魔するなどして、ポケットとパックとストライカーが同一直線上にならない場合には、パックのどの部分に当てればポケットに入るのかをしっかりと確認した上で、角度をつけてショットする必要がある。これは、パックの1/2右とか、1/3左とか、1/4右というように狙う位置を数値化して目安にすると良い。
・ポケットに入れやすくなっているアジェイスン(隣接)パックを見逃さないようにする。難易度の高い位置でも隣接していれば、楽に入れることができる。先端のパックの進行方向に対して、隣接パックは90度の方向へ移動することを理解しておこう。
・複数のパックが接触して固まっていると、一発ではポケットへ入らない配置になっていることがある。そこへストライカーを打ち込んで崩してみる。ただし、崩した結果、相手が有利な配置になってしまわないか慎重に考える必要がある。自分のパックだけが密集していれば、迷わず崩しておくべきである。
・相手は対面にある自分側のポケットへパックを入れていくプレイが基本となるので、その進路を妨害する位置にある自分のパックは後回しにすべきである。
・相手が自分より先に全てのポケットとパックとエリアラインが、ストレートラインにならないかに注意しておく必要がある。相手がミスしない限り、それは相手の勝利を意味するからである。
・自分のパックを入れれば入れるほど、それは勝利に近づいているようで、相手から見ると邪魔する障害物がなくなるので、自由な角度からストライカーを打ち込めるようになる。つまり、入れれば入れるほど、自分が不利になっていくことを理解しよう。
・ジャックがセンターよりも奥へ行かないように意識してプレイしよう。
先にジャックを入れるチャンスが訪れたとしても、ジャックが遠くにあれば、それだけショット精度が求められ、難しくなるからである。
そのため、序盤は相手側のフレームにストライカーをクッションさせ、ジャックを自分側へ引き寄せるプレイがセオリー化している。
彦根のボードの場合、赤側のフレームよりも緑側のフレームの方が跳ね返りやすいという特性がある。(緑側のフレームが外側で長いため)シングルスをプレイするのであれば、緑側に座った方が良い。
・自分のすぐ前にあるパックは壁になっているので、自ら崩さないようにして、自分のエリアに移動してきた相手のパックは、中央に寄せてポケットに入れづらくしよう。手番を消費するが、やらないよりもやっておいた方が良いディフェンシブなプレイである。
相手がこのようにしてきたら、サイドフレームにストライカーをクッションさせて、早い段階でパックをポケットへ入れてしまうか、相手のエリアの外へ出すようにする。
・序盤、自分の前にあるパックを打ってしまうと、壁を壊してしまうだけでなく、中央のジャックを玉突きして、さらに奥へ移動させることになりかねない。自ら不利な状況は作らないようにしたい。
・ジャックが相手寄りにある場合、パックをポケットに入れるよりも、クッションやバンクショットを打つことで、ジャックを自分側に引き寄せることを優先すべきである。
ジャックが奥にあって、ポケットに入れやすければ、敢えてジャックペナルティを受け、センターへ戻すことも考えてみよう。
・相手が先にジャックを入れて、ゲームに負けるぐらいなら、途中でジャックを入れて、敢えてジャックペナルティを受けて、再起を計ることも選択肢のひとつとして意識しておく必要がある。
・自分が入れようとするポケット付近に相手のパックが邪魔している場合には、たとえ相手のパックであろうとも躊躇せずに入れてしまう方が良い。
邪魔な相手のパックに居座られると、こちらはショットに制限がかり、ダメージが累積してしまう可能性がある。
・ポケットに入れたいパックはストライカーで直接狙った方が成功しやすく、他のパックで玉突きすると誤差が生じやすくなり難しくなる。状況によってはクッションやバンクショットの選択を考えてみよう。
どのようにすれば、パックをポケットへ入れることができるのかを考えてプレイすることが大切で、その後の展開を想像することが強くなる秘訣である。
・狙い通りにショットが成功すれば良いが、失敗した場合にどうなるのか、ネガティブなイメージも想像しておくことも大切で、リスクがどれだけあるかによっても、パックをポケットへ入れていく順序が変わってくる。
当然、相手の進路を邪魔するパックは後回しにするのがセオリーである。
《中級篇》
・公式試合のように制限時間が設けられている場合には、後攻までは時間外で手番が回ってくるので、先攻プレイヤーがやや不利と言える。そのため、先攻であればアグレッシブにパックをポケットへ入れるプレイをせざるを得なくなる。
スマホのタイマーを目の前で確認できるようにして、試合時間を意識しながらプレイする必要がある。後攻であれば、焦ることなく戦況を見極めてから動くことができる。
・序盤から積極的にパックを入れるよりも、リスクの高い配置にならないように気を配るべきである。
リスクの高い配置とは、相手エリアにあるパックであったり、パックの密集を崩すのが難しい配置になっていることで、不用意にこちらが崩してしまうと、逆に相手のパックが入れやすくなってしまい、先にラッシュをかけられかねない危険性を孕んでいる。
・ポケットに入らないような配置が自分にはどれだけあって、相手にはどれたけあるのかを常に把握しておくことは、どのようなプレイをすべきか、そのヒントや指針を与えてくれることが多い。
・相手のパックに対して、自分のパックがポケットへの進路を妨害しているが、自分のパックだけは対面のポケットへ入れられる配置が望ましく有効である。これはハの字のように末広がりの配置にすることで作り出せる。
・パックの位置を微調整したり、軽くパックの密集を崩すには、微妙な力加減が必要になるので、人差し指と中指を使ったシザースショットを使うのが効果的である。
・右手でショットすると、ストライカーには左回転が加わり、左手でショットすると右回転が加わる。クッションショットにおいて、その回転方向により、ストライカーの食い込み方が違ってくるので、それを体得しておくことが重要である。
ダブルスにおいて、自ら自陣にあるパックをポケットに入れるには、サイドフレームを利用したクッションショットが有効となる。
右側にあるパックに対しては、左サイドフレームに向けて左手でストライカーを弾き、左側にあるパックに対しては、右サイドフレームに向けて右手でストライカーを弾く必要がある。
・相手よりも先にラッシュがかけられるようにパックの配置に意識を集中させ、フィニッシュへ持ち込むことが重要ではあるが、ポジションによる難易度を考慮した上で判断しないといけない。強引なラッシュをかけて失敗すれば、自分のパックが盤面からほとんどなくなるため、相手は自由な角度から楽にストライカーを打ち込めるようになり、相手が逆転勝利しやすい状況に様変わりしてしまうからである。
・ストライカーの位置に角度をつけ、パックに対して薄く当てることで、反射したストライカーが90度曲がって進む法則を利用して、パックを入れながら、密集したパックを崩すカットショット、もしくは、密集したパックを崩しつつ、反射したストライカーで別のパックを入れるキャノンショット、ストライカーでパックを打ち、別のパックに反射させてポケットへ入れるキスショットなどを駆使すれば、一見するとポケットに入りそうもない配置から一気にラッシュをかけることができる。自分のショット精度や技量に応じて、より堅実な選択をすることが、勝ち筋を見つけることに繋がる。
・自分のエリアライン付近にあるパックを使って、そのパックを入れながら、ストライカーで他所のパックの密集を崩すようなフォローショットもラッシュをかける際に有効に作用することが多い。従って、自分のエリアライン付近にあるパックは無闇に単独でポケットへ入れない方が良い。
・有利不利かの戦況を把握して、それに応じたプレイをすることが肝要で、不利な状況であれば、強引にラッシュをかけるなど、リスクの高い戦術を取らざるを得ない場合がある。
・苦しくなってから、ゲーム途中でジャックをポケットへ入れてその場を凌ぐよりも、不利な状況が予測できた段階でジャックを入れ、ジャックをセンターへ戻せば、状況を打開できる可能性があるので、これは常に意識しておきたい。
・センターに自分のパックがあると、相手はパックを狙いづらくなり、不自由なショットになることが案外と多いものである。意図的にストライカーをポケットに入れることで、ペナルティにより、確実に自分のパックをセンターへ配置することができる。このディフェンスのタイミングも常に意識しておきたい。
・自分のパックがセンターにあるとき、相手のパックを盤外へ弾き出して、センターの自分のパックの上に乗せることで、優位な配置を作り出せる場合がある。
さらなる上級テクニックとして、相手のパックを盤外に弾き出しながら、自分のパックをポケットへ入れることができれば、あたかも相手がペナルティを受け、次に自分の手番が来たような状態を意図的に作り出すことができる。
・ストライカーを打ち込んだ後、盤面がどのように変化するかをイメージすること。次に相手は何をしようとしているのかを予測して、対処方法を考えておくことが重要である。
その場しのぎの目先の一手だけに終始するのではなく、展開を予測して先を読む力をつけることは、多くのゲームでも共通する強くなるための秘訣であり、カロムにおいても同様である。